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脳障害の機能予後

2015年8月1−2日,吉野孝広先生に金沢まで来て頂き,研修会をおこなってもらいました.タイトルは“脳卒中急性期の患者をどうみるか? 〜データの見方から治療まで〜 ”
言葉の正確さにこだわるSJFの研修会にしては,一般用語であえてタイトルをつけさせてもらいました. わかりやすく,聞きやすくしたかったのです.

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吉野先生はSJFの本部理事であり,大西脳神経外科病院でのPT・OT・STを率いるトップの方. SJFの技術はもちろんのこと,SJFを脳障害患者のPTの中で,非常に効果的に使っていらっしゃるのを以前から知っていましたので,ようやくまとめてお話しが聞ける機会を作れました.

思った通り,いや,それ以上に楽しく,わかりやすい講義に感動しました.
脳障害の症候は,いろいろな要素が絡んで出来上がっているもの. それをデータからしっかり示して頂けました. こんなデータは論文にもなかなかありません.貴重なお話しを聞き,明確に整理できたことがあります.

“ちゃんと治療した状態でないと,機能的予後は語れない”
ということです.
世の中には,脳障害に関しての予後についての論文は数多あります.しかし,そのどれを読んでも,統一感がない. 実際の患者さんに合わない. 本当にそんな予後になるの? データと実際,ぜんぜんちゃうやん.
そんなことを常々感じていました. その理由がはっきりしたのです.

梗塞であれ,出血であれ,外傷であれ,損傷した脳の部位により,影響をうける能力,出てくる症候が決まる,ことは少なくとも当然です.
しかし,その回復過程で出てくる合併症により,症候が変わってくる. 本来の症候に合併的に加わった症候が重なることで,実際にみえる症候は“一つ”になります.何が合併してるか,きちんと鑑別していないと,損傷による症候だけをとらえることができません. つまりどんなbig-dataを使った論文だろうが,きちんと治療していない母集団でのデータであれば,バイアスが多いデータとなります.これが多くの論文の予後に関するデータに幅があることの原因でしょう.

もちろん,どうしても合併してくるものもあるでしょう.それは仕方ないとして,少なくとも治療できる合併症は治療してなくしておいてから,データとしてまとめないと,同じ母集団からのお話しにはならないですよね.実際の状況とあわないわけです.
これに気づいているDr,therapistはどれだけいるのでしょう.母集団の時点でバイアスが大きいデータで,一つの見解を作り出しているだけ. その見解のバイアスはさらに大きく,正確性にかけることに気づいている著者はどれくらいいるのでしょう. このことに関しては,脳障害に限った事ではありません.整形疾患でも,小児疾患でも,呼吸器疾患でも,どんな疾患でも同じでしょう.論文のデータをみて,実際の患者の状況と比べ,いろんなことを考えていく事は大事です.問題はそのデータと患者との状況がどこまで同じか,ということでしょう.でないと,予後を予想することはできません.患者さんに説明する事はできません.

予後が予想できないと,ちゃんとした治療計画がつくれません.治療目標がしっかり明確になっていないと,日々の治療が効果的であるのか,改善過程にはいっているのか,は判別つけることができません. 判別できないと,患者さんに“これからどうなるのか”ということを説明できません.そうなると患者さんのモチベーションも上がりませんし,信頼もされません. それによりさらに治療効果は下がる. 悪循環ですよね〜.

やはり治療できて初めて,“データを使って,ある事象の本質を語れる”のでしょう.治療できないと,患者さんへの説明もできず,最高の効果を提供できません.早く回復過程に戻して,最短で回復できる状況を作ってあげる,ことが理学療法の最初ではないでしょうか.

そんなことがはっきりと理解できた二日間でした. 吉野先生ありがとうございました.

DSC01127 のコピー

さぁ,きちんと治療していこう! 早く,最高な回復過程をたどってもらうために,頑張るぞぉ!.

すべては患者さんのために.

守山でした.
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がんばらなくても

こんにちは.

理学療法士 守山です.

暖かくなってきましたね.
金沢は日中,暖かい,を通り越して,暑い,くらいでした.

専門,という言葉は好きではありませんが,
得意な分野は,関節疾患,乳腺疾患,な守山ですが,
他の障害も当然,治せます.
呼吸だろうが,内科疾患だろうが,脳障害も...

脳障害,,,
以前は,脳や神経の損傷や治癒,”だけ”,をみていました.
しかし,関節,運動にも焦点を合わせて,脳や神経の損傷,治癒をみていくと,
いろんなことがみえてきました.
そして,”治らない障害”と考えていたものが,”治る”経験を多くするようになりました.
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いろんな諸説があることは知っていますが,
誤解を恐れず書くと,

脳や神経の損傷を,身体を動かすことで,治す事はできない,

という事実を受け入れることから始まります.

損傷が改善してくるに伴い,運動,感覚が正常に働ける状況にする.

そのように認識してPTを進めると,

改善に伴って,きれいに運動,感覚が戻っていきます.

つまり,損傷によってできた二次障害をいかに,少なくするか,
コントロールするか,
で,運動,感覚の予後が変わってくるでしょう.

ここ最近では,
脳梗塞後,6ヶ月,いくつかの医療機関で,
  ものすご〜くリハビリを頑張った,
後から,私が関わったケースがあります.

すでに,麻痺はそこそこ改善しているのですが,
ともかく痙性が強い.
がっつり,う○○…○ん姿勢,完成している.
歩けるは歩けるけど,不安定で怖い,しんどい.

そういう方の,各関節の関節内運動をきちんともとに戻していき,
関節がきれいに動くようにしていくと,
痙性は落ちていく.
おかげで,不良姿勢からは脱していけます.
麻痺は改善していましたからね.
そういう経験から,
  (リハビリを)がんばらなくても良い,
という考えにいたります.

この言葉だけでは誤解が多いので,もう少し詳しく書くと,
  できないことを,無理矢理繰り返すだけではいけない,
ということです.

できないこと = できない動作,
つまり,動作だけをみるのではなく,
動作を構成している,運動,神経機能,筋機能,関節機能,
のどこが障害されて,動作ができないのか,を
しっかり見極める事が大切です.

ちまたの,
 運動を繰り返すだけのリハビリ,
は,効果がないとは言いません.

しかし,効果が少ないのではないでしょうか.
必要に合わせて,動作訓練を行う.
そのためには,その問題点になる障害を治療する.
このように,視点をはっきりさせてPTするだけで効果が格段に変わります.

7年前に複数回目の脳梗塞を起こし,
その後徐々に動けなくなり,数年前よりはほぼ全介助のtransfer,廃用手,
となった方でも,
関節内治療を初めて受け,
10回弱で,立ち上がり動作が自立できるようになりました.

となると,二次障害さえとれば,動ける方はもっといるのではないでしょうか.

そんな結果が,視点を変えることで得られるなら,なんてお得なんでしょう.

そう思いませんか.

頑張る事はもちろん大事,ですし,私は大好きです.
でも,,,がんばりすぎなくても,良いですよね.

適度にいきましょう.

長くなりましたので,この辺で.

全てはみなさんの幸せのために.

守山でした.

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